発狂目覚ましくるくる爆弾.
今年で結成38年。
the原爆オナニーズ。
如何にも色物的なバンド名で、名前を聞いただけで、敬遠する人も多いだろう。
2020年、東京オリンピックは延期になった。
世界中がコロナ禍の影響で、今まで当たり前だった常識や慣習を考え直すこととなった。
そんな中、the原爆オナニーズのドキュメンタリー映画「JUST ANOTHER」は、 ひっそりと上映を開始した。
僕はよくこのバンドのことについて知らなかったんだな、ということに上映中に気付いた。
僕は2014年にバンドを一度辞めて、サラリーマンになった経緯がある。
もう歌を歌うことはないだろうな、と考えていた。
紆余曲折があり、また仲間がバンドに誘ってくれ、ステージに立つことになった。
ただ、もどかしい気持ちがずっと胸の中にあった。
バンドを本気でやるなら、音楽一本でいかなきゃ駄目なんじゃないか、ずるいんじゃないか。
簡単に言うと、ロックじゃないし、パンクじゃないな、そんな風に考えていたのかもしれない。
だから、仕事とバンドを両立していくことに、どこか後ろめたさのようなものがあった。
いや、そもそも学生時代から食いつなぐためにやってたアルバイトだって、仕事なんだけどさ。
「生活の基盤なくして、バンドはできない。」
劇中でTAYLOWが大真面目な顔をして言う。
the原爆オナニーズというパンクバンドのボーカルが言う。
映画「JUST ANOTHER」にはthe原爆オナニーズというバンドの各メンバーの家庭があり、故郷があり、仕事があり、バンドがあり、仲間がいて、毎日の生活があった。
俺はなんだか泣いてしまった。
この人たちの生活そのものにぐっときてしまった。
なぜ、それでも彼らはやり続けるのか。
「今池まつり」のお客さんの表情が頭にずっと残っている。
Embroidery:今菜津美
text:こすげ