STOP JAP.
バンドをやりながら、お米屋でアルバイトをずっとしていた。
葛飾区の家族経営の小さなお米屋だ。
3代目の店長と奥さん、おやっさん(当時85歳くらい?店長の父である)と僕たちバイトが数人。
当時はバンドでツアーに出ることも多く、迷惑もかけた。
少人数のお店でただでさえ人手不足なのに、それでもいつも応援してくれた。
遠藤ミチロウさんと僕のバンドが対バンすることになった時、
僕の周りで一番喜んでくれたのは奥さんだった。
なぜかパンクロックが好きだったらしく、スターリンのライブにもよく行っていたらしい。
ミチロウさんのことを「ミチロウ」と呼び捨てにしていることに親しみを感じた。
奥さんが入院してしまった時、
僕がミチロウさんにサインをお願いして、CDをプレゼントしたらとても喜んでくれた。
「早く元気になってくださいね。」
優しい字で、書いてくれた。
ミチロウさんが亡くなった時、あの時のミチロウさんの優しい顔を思い出した。
今でもSTOP JAPを聴くと、お米屋のことを思い出す。
お米の配達中にバイクで何度も聴いた、STOP JAP。
葛飾の公道の排気ガスにまみれて、僕はバイクのアクセルを力一杯握りしめた。
Embroidery:今菜津美
text:こすげ