Blank Generation / Richard Hell

2021.12.09

Blank Generation.

いつも何かに腹を立てていた。
世の中が気に食わないし、置かれた環境も気に食わない。
そしてなにより、自分が「何からも認められない世界」であるということが、一番気に食わなかった。

でもそれは当たり前なんだ、
なんたって自分はなんにもしてないんだもの。

虚無感が毎日襲ってくる。
生きてても意味ないのかなという漠然とした思いが襲い掛かってくる。

このままなんにもしなかったら、
本当になんにもない人生になりそうだと思った。
だから、歌を歌うことにした。
当時の自分にはそれしか思いつかなかった。

毎日、自分の怒りや虚無感を歌詞にした。
ギターで適当な曲を作り、それをがなり声で歌ってみた。
とにかく世の中のものが全部壊れて、粉々になってなくなればいいと願いを込めた。
音楽で全てを破壊する、それだけが自分の願いだった。

今、僕には妻がいる。仲間がいる。友達がいる。家族も大切なものだと気付いた。
気に食わないはずの世界で遊園地に行ったり、BBQしたり、花火を観たり、旅行したり、
そういうことも楽しいと思えるようになった。

怒りだけがエネルギーだった自分はもういない。
それによって失ったものもたくさんあると思う。
でも、あの日に戻りたいとは思わない。
全部背負って生きていく。

あのからっぽな毎日が、
今も僕の血や汗や涙になっている。

Blank Generation.
But I can take it or leave it each time.

Embroidery:今菜津美
text:こすげ

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